追憶

一本の線でしかつながってない異性の友達の話

3月に入って一気に暖かくなり、今や桜の開花の報道がされるようになってきた。東京の開花予想日は今のところ3月17日とのことで、例年よりかなり早くなっている。ちなみに、東京の歴代最速開花日は2002年および2013年の3月16日で、最速満開日は2002年の3月21...

有楽町線の片思いとラクリマクリスティ

 「最近、クラフトビールにハマリマクリスティなんだよね」  といった死語的な言い回しを今でも使う人間がいたら、間違いなく90年代のビジュアル系バンドブームを通った世代である。僕もそうであり、今僕はそのビジュアル系バンド、ラクリマクリスティに再びハマリマク...

鳥取に移住した理由

 今年の7月で移住して3年が経ったけど、いまだによく「なんで鳥取に移住したの?」と聞かれるので、ここでまとめておこうと思う。  話は妻と付き合い始めた時点にさかのぼる。2007年のことだからもう9年前のこと。僕は27歳、彼女(現妻)は26歳だった。彼女は...

薦められた本を14年後に読む

 手元に一冊の小説が届いた。チェコ出身の作家、ミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ』である。大学生の頃、ある人に薦められて読もうとしたものの、その取っつきにくさに挫折した。この本に再挑戦しようと思ったのにはワケがある。  話は2002年、大学4年生...

1996年に高1時代が過ごせて絶対的に幸せだった3つの理由

 1980年生まれの僕は、1996年の春に高校へと進学した。あれからちょうど20年が経ち、ある思いを深めている。それは、15歳から16歳という10代ど真ん中の多感な時期が96年という時代と重なって心底よかった、というもの。3つの観点から力説したい。    ...

祖父に思い切って戦争体験について聞いてみた夏

 ユズをはじめ文旦、小夏といった柑橘系の果物、トマトなどの野菜、お茶、室戸海洋深層水などなど、ビールの原料や副原料になりそうな名産物が豊富な割に地ビール不毛の地、高知県。酒飲みが多く、時代を切り拓いてきた人材を多く輩出しているだけに、ビール界でも風雲児的な人材...

人生で一番酒が飲めた1カ月

 憂いに満ちた表情付きの「昔はもっと飲めたんだけどな…」を20代の中盤から今まで、ずーっと周囲から聞き続けている気がする。その「かつてはすごかったんだぞ」を背後に秘めた穏やかな口調は、往時の賑わいを偲ぶ熱海の旅館組合の男性の口ぶりのようだ。「年とともにどんどん...

同棲部屋と落桜

 一度も花見をすることなく、春が過ぎ去ろうとしている。これは僕にとっては結構レアなことだ。これまで毎年最低1回は、桜の木の下で大手のビールを飲んでいた。だいたい缶のまま。コンビニやスーパーで買った海苔巻やポテトチップスとともに。  今年は本当に天候に恵ま...