追憶

伊勢神宮で二度見された男たち

 今年の初詣は家から徒歩2分の神社で済ました。1歳の息子と手をつないでのんびり歩いて行ったので、5分くらいかかったのだけれど。  実家は初詣をしない主義だった。主義とか高尚なものではない。ただ単に親が出不精なだけだった。「わざわざ人込みに行くのは嫌だ」と...

三十路でファーストフード夜勤だった頃

 アルファベット2文字&女優だと直接的過ぎるからか、セクシー女優と呼ばれることもある女性たち。東京にいた頃、一緒に飲む機会があって色々話を聞いたことがある。妙に印象に残っているのが鏡の話。  その女優が仕事を始めた頃。それなりに覚悟して業界に入ったが、や...

退屈なビアガーデン

 トルストイの長編小説『アンナ・カレーニナ』の冒頭に、  「幸福な家庭はみな同じように似ているが、不幸な家庭は不幸なさまもそれぞれ違うものだ」  という有名な一節がある。僕はこの言葉を折に触れて思い出す。幸福な形の...

中2の僕は冷たいビールの缶を頬にあてたままで眠りたかった

 氷室京介がライブ活動を休止すると宣言し、悲しみが波を打ち続けている。僕の人生初のライブは氷室京介だった。今からちょうど20年前の1994年。東京ドームで行われたライブだった。  今思うと少し大胆なことをした。なんせ当時、中学2年生である。同級生の友人を...

僕の演歌観が変わった日

 最近、仕事の必要性からAMラジオを聞いている。すると、FMではほぼ流れない演歌が割と頻繁にかかる。10代の頃は古臭くて嫌悪感を抱いていた演歌。今耳にすると、しみじみいいなあと思う。  人生で一番最初に「演歌っていいものだな」と思った瞬間を明確に覚えてい...

覆面パトカーを猛スピードで追い越した結果

 車窓を眺めながら飲むビールは、例えようもなく美味しい。新幹線や特急の方が落ち着いて飲めるから理想的だけど、鈍行でももちろんいい。ただ、周囲が飲みモードになっていないので若干周りの目が気になるのだけど…。  先日、青春18きっぷが久しぶりに値上げするとい...

サッカーとのペアリング

 オリンピックも同じ4年に一度なのに、サッカーW杯の方が4年前8年前12年前の生活を思い出しやすい。それは、W杯のときは必ずビールが手元にあるのに対して、オリンピックの記憶にはビールが希薄だからなのかもしれない。  4年に一度のサッカーW杯が始まった。日...

安かったのに異常に旨かった限定ビール

 最近、カメラを向けられたとき、ピースサインを取らなくなっている。  ちょっと前までは常にピースサインをしていた。カメラを向けられて何もしないのは無愛想だと思っていたし、自然に微笑むことなんてできない。ピースをすることは撮影者へのサービスであり、照れ隠し...

僕が禁煙できた理由

 始めた日付をしっかり記憶していると、禁煙は失敗しやすい。  という説をどこかで聞いたことがある。その日付へのこだわりは、そのままタバコへの執着であるため止められない、という理屈だったと思う。確か。それと「○日間禁煙に成功してる!」とすぐに計算できるのも...

酔いを劇的に覚ます唯一の方法を知ってしまった話

 お酒を飲んで気分が悪くなったとき、人は何をしてその状態から脱するのだろうか。夜風に当たる、水を飲む、温かいものを飲む、横になる、顔を冷やす、シャワーを浴びる、あたりだろうか。ただ、そのいずれにしても即効性はない。快方に向かうことはあっても、すぐに元の状態に戻...