サッカーとのペアリング


 オリンピックも同じ4年に一度なのに、サッカーW杯の方が4年前8年前12年前の生活を思い出しやすい。それは、W杯のときは必ずビールが手元にあるのに対して、オリンピックの記憶にはビールが希薄だからなのかもしれない。

 4年に一度のサッカーW杯が始まった。日本代表出場のスタート地点であるフランス大会時は、高校生だったためかビールの記憶がない。試合は日本戦3試合以外も見ていたはずなのだけど、どんな状況で見たのか思い出せない。おそらく実家の自室で一人見ていたのだろう。

 2002年の日韓W杯になると、もうビールの虜だったので容易に思い出せる。ベルギー戦も盛り上がったが、ロシア戦は尋常ではなかった。六本木や渋谷がサッカーの試合ごとに異様な雰囲気になるようになったのも、あの2試合がきっかけだったと思う。僕もテレビがある安居酒屋でジョッキ片手に友人たちと盛り上がった。「渋谷がすごいことになっている」というメールが乱れ飛んでいた。

 社会人になり、一人暮らしを始めていたドイツW杯は印象深い。行きつけだった近所のバーが、確か普段は置いていなかったけど、期間中はテレビを置いていた。何となく普通の生ではなく、ギネスを選んで飲んでいた。会社の帰りに渋谷のバーに寄ってギネス片手に観戦したり、ドイツW杯はとにかく家の外でギネスを飲みまくっていた。大会中、一体何杯飲んだのだろう?と思うくらいに。

 一転、前回の南アフリカ大会は100%部屋で観戦するように。その前年に同棲生活が始まったからである。当時、フリーランスになりたてで仕事が安定していなかったので、夜になると某ファーストフード店の夜勤に出ていた。日本代表のパラグアイ戦は夜だったので、店で敗戦を知った。あの頃は贅沢できなかったので、金麦とクリアアサヒをよく飲んでいた。わずか4年で家も家族も飲むビールも変わるものだ。

 同じ思いを今、抱いている。現在、住む場所もガラッと変わり、家族も増えた。今回大会、飲むビールは何になるだろう。国内外のクラフトビールも飲みたいし、やっぱりギネスも押さえておきたい。そして、気が早くも思う。今から4年後はどうなっているのだろう、と。淡々と流れてゆく時間を4年刻みに、飲むビールとともに意識させてくれる機会は貴重だ。
 
 
 
 いずれにしても、お祭り気分で飲むビールは本当に最高。これから1か月、思う存分ビールとサッカーのペアリングを楽しみたい。

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