ビールは料理に合わせない方が楽しめる


 この世界には二種類の人間しかいない。

 という書き出しだと採点者も「おやっ」と思うので、受験で小論文を選んだ人にはおすすめ。ということをバラエティー番組で発言していたのは、オリエンタルラジオの中田敦彦だった。彼の考え方に倣い、僕はこう書きたい。

 この世界には二種類のビール好きしかいない。それは、料理とのペアリングを楽しむビール好きと、ビールだけを楽しむビール好きだ。

 前者は「料理とのペアリングを楽しむビール好き」ではなく、「料理とのペアリングを【楽しめる】ビール好き」と言い換えて問題はない。そう、ペアリングというのは誰もが簡単にできることではなく、ある種の能力なのである。

 カミングアウトしよう。僕は完全な後者である。ペアリングができない。

 「いやいやいや、そこにある料理を食べた後、そのビールを飲むだけじゃん!」。前者の人間はそう突っ込むだろうが違う。声を大にはしないが小にして言いたい。多くの人が食とビールの相乗効果を味わえるところ、後者の人間は「うーん、口の中の幸せなビールワールドが乱されたな…」とちょっぴり残念に思うのだ。

 □ ビールとフードの相乗効果でハッピー
 □ ビールがフードで乱されてアンハッピー

 このどちらにチェックを入れるか?両者の違いはここにあると思う。

 小さな頃から何か一つのことをしながら、同時進行で何かをするのが極端に苦手だった。保育園の頃、右手と左手で異なるグーチョキパーを出す遊びが全くできなかったことに始まり、漫画を読みながらご飯を食べることは今も昔もできないし、コーヒーを淹れながらパンや卵を焼く朝の時間なんてもう毎日淡いパニックだ。

 要は不器用なのである。手先も不器用だが、脳内も不器用に仕上がっているのだろう。これはこれ、あれはあれと分けないと生きづらい。

 もちろん、ビアバーなどに行って何も食べない。ということはない。でも、正直、口の中の幸せなビールワールドを乱すであろうフードはあまり食べたくない。

 ただ一つ、ハッキリしていることがある。世の中、圧倒的にペアリングを楽しめる人の方が多い。でも、僕ほど極端ではないにせよ、「ま、ビール7、料理3くらいの比率がいいかな」くらいのビール好きは結構いるのではと思う。

 人間とは常に過渡期にいる生き物である。という名言があるように(僕が今作ったのだが)、いつか僕もペアリングを楽しめるようになっているかもしれない。現状を綴ってみた次第である。

a0001_011463