ビールでお腹がいっぱいになる人ならない人


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 「ビールを飲むと、すぐお腹がいっぱいになる」。

 これは「最初から最後までビールを飲み続ける純度の高いビアラバーが友人から聞きたくない台詞トップ10」にランクインするであろうフレーズだと思う。友人にビールを勧めた後に、こう言われて凹んだ経験のあるビアラバーは多いのではないだろうか。

 ビールを飲み続けてもお腹がいっぱいにならない人にとって、「ビールを飲む→お腹がいっぱいになる」という図式は理解し難い。「昨日徹夜した→今日頭がボーっとする」、「朝から何も食べてない→お腹ペコペコ」といった因果関係なら理解できるのに。「夕べ、星を眺めていた→朝になって右の肘がヒリヒリする」というフレーズくらい頭の中に「?」が浮かぶのである。

 というわけで、「ずっとビールが飲める派(通称:ずビ派)」と「お腹がいっぱいになるため最初の一杯でやめる派(通称:満腹派)」の違いが一体何によって生まれるのかを調べてみた。すると諸説出てくる出てくる。

 ・肝臓のアルコール処理能力の違い説
 ・胃の働きが違う説
 ・そもそも内臓の大きさが違う説
 ・飲んだビールを小ですぐ出せる人と出せない人で違う説
 ・炭酸がゲップで出やすい人と出にくい人で違う説

 どれも納得できるようなできないような説である。最終的には「お腹が膨れることに対して感じ方が違う説」というのも存在した。いわく「同じビールの量でも自分のお腹が膨れる感じをより敏感に感じ取る人がいる一方、自分のお腹が膨れる感じが全く気にならない人もいる」のだとか。まるで全ての「ずビ派」を「あなたは鈍感なだけですよ」と断罪しているかのような説で到底受け入れられない。

 ただ、ビールが炭酸の入った飲み物であることがそもそもの原因であることは疑いようがない。ワインや焼酎でお腹がいっぱいになるという話は聞いたことがないからである。すると、やはり「体内の炭酸をうまいこと排出できるか否か」が派閥の分かれ目である可能性は高い。色々調べていると、ビールから発生した炭酸ガスを、

 「口から、あるいは後ろから排出することができればお腹が膨れる感じは軽減されると思います」

 という記述も発見した。【あるいは後ろから】というフレーズがこれほどまで意味深に見えた経験はない。記述はこう続く。「そのような排出を、文化的・生物的な理由から積極的に行わない(行えない)ひともいると思います」。

 もしかしたら、僕を含めた「ずビ派」が「ずビ派」でいられるのは、自分のお腹が膨れる感じが全く気にならない鈍感さを持ち、飲んだビールを小ですぐ出し、ビールから発生した炭酸ガスを口から【あるいは後ろから】文化的・生物的にお構いなく排出しているからなのかもしれない。