アメリカ人ビール醸造家と日本人ラーメン店店主はカメラを威圧しがち(ダブルブラックIPA/リバイバルブリューイング)


今夜もどこかのビアバーでは男が女に向かって、

「IPAというのは、昔イギリスが植民地のインドにビールを輸送するにあたって、長い航海で劣化しないよう殺菌効果のあるホップを大量に投入したため、ホップの個性が際立つスタイルになったんだよ」

というIPA(インディアペールエール)トリビアが披露されるのだろう。かく言う僕もおそらく35回くらいはこのトリビアを披露している。相手は男の方が多いけれど。残念ながら。

IPAというのは、もはや一人歩きしているビアスタイルと言える。それを証拠に、ホワイトIPAやブラックIPAといったものが出てきている。「pale」は「薄い」という意味なので、ブラックIPAというのはありえない。「IPA」はブランドなのだ。

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そんなわけで僕がチョイスしたブラックIPAは、リバイバルブリューイングのダブル ブラック IPA。メインに使われているホップは、アメリカのチヌークと日本原産のソラチエースだという。ラベルにもCHINOOK vs SORACHI ACEとあり、両者がボクシングで戦っているようである。

開栓するとホップ香。飲んでみると、華やかなホッピー香の向こうにモルトの甘みをもったりと感じる。乱暴に言ってしまえば、「ホッピーなインペリアルスタウト」で終わってしまうかもしれない。ラベルを見るとアルコール度数は8.5%。ノーマルなIPAは6~7%だと思うので、やはりやや度数が高い。そうだ、これはただの「ブラック IPA」ではなく、「ダブル ブラック IPA」なのだ。

ラベルにはホップ同士の戦いが描かれているけれど、それはあまりよくわからず、どちらかというとホップとモルトの戦いの方がしっくりくる。ホップもモルトも間違いなく大量に使われたはずなのだけど、どちらの魅力も失われず堪能できるのだから、どれだけ醸造家にバランス感覚があるのだろうと感心せざるをえない。

ちょっと調べてみると、醸造責任者はSean Larkinさんという方でキャリア20年を誇るベテラン。リバイバルブリューイングは5年前にニューイングランドで盟友とともに開業したようだ。しかも、この「ダブル ブラック IPA」はデビュー作。写真で見る限り、Sean Larkinさん、かなりの巨体。ものすごくどうでもいいのだけど、アメリカの醸造家ってなんで恰幅が良く、カメラを威圧するように写真に映るケースが多いのだろう。腕組みがデフォルトの日本のラーメン店店主と何か近いものを感じる。