女子人気が高い銘柄がフルーティー&低アルコールになって鬼に金棒状態(ヒューガルデンロゼ/ヒューガルデン)


 20代の頃、下北沢北口にあるノースサイドカフェでよくヒューガルデンを飲んだ。無機質だけどどこか温かみのあるスタイリッシュな空間。ざわつく店内で黄色く濁ったそいつを一口飲んで、「あー、いかにも東京だなあ」と東京育ちながら思ったものだ。

 そこでは樽生が飲めた。軽快かつちょっとスパイシーな飲み口で、普段飲んでいるビールとは一線を画す味わいに虜になった。残念なことにいつからか販売中止になった。おそらく輸入元が小西酒造からアサヒビールに移ったタイミングだったのだろう。アサヒが無視できないほどに人気を博していた。今なお最もメジャーなベルギービールはヒューガルデンと言っていい。

 折に触れて飲んでいたヒューガルデンにニューフェイスが加わった。ヒューガルデンロゼ。元々女性受けがいい一本が、さらに女子ウケ方向に舵を切った印象だ。

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 一口飲んで苦笑いしてしまう。もはやジュースである。ただし、僕はビールに関しては海のように寛容な心を持ちあわせているので、「こんなのビールじぇねえ!」とは思わない。「いいね!やれやれ!」と思う。

 ラベルを見ると本家ヒューガルデン同様、コリアンダーシードとオレンジピールが入っている。特筆すべきは果汁。ラズベリー、リンゴ、エルダーベリー、イチゴといった具合にこれでもか!とキュート系果汁が入っている。なんだか女性の部屋を覗いてしまったような、気恥ずかしさすら漂う。「タウリン」なんて男臭い字面は間違っても入っていない。

 アルコール度数も3.0%と低め。さらに量も250mlと少なく、正直、男が飲むと違和感すらある。もしその姿を見たら、カフェでパフェを食べている男性を目撃したときと同じような「見てはいけないものを見てしまった」感覚に陥るだろう。

 裏を返せば、女性にとってここまでビールの入口にふさわしいビールもない。事実、21歳の妹にこの前、色々なビールを飲ませたが、唯一ヒューガルデンロゼだけは美味しいと言っていた(それ以外は軒並み駄目だったが)。

 僕はあまりビールに男女差を持たせたくないと思っているけれど、このビールはやはり女性におすすめしたい。それも20歳そこそこの。大学生男子が同い年の彼女へのホワイトデーに渡すのに、これ以上ぴったりなアイテムは世の中に存在しないとすら思う。