山陰は何にもなさそうで何でもある
- POST DATE:2015.05.11
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- KEYWORDS:ビールがあまり出てこない, 旅
怒涛のGWが幕を閉じた。
新居に越して最初のGWは、東京からやって来た高校時代の友人と常に一緒だった。当初、一週間も滞在したらネタ切れするのでは?と心配だったが、こちらには行くところもやることもたくさんあった。
初日は空港迎えついでに、島根半島の先にある美保関までドライブ。美保神社の近くにあるレトロな青石畳通りを散策したりした。翌日は“日本一危険な国宝鑑賞”というキャッチフレーズを持つ、アスレチッキーな三徳山の投入堂へ。三朝温泉を回って帰宅した後は、日が暮れるまで野良仕事。次の日は、中国地方最高峰の大山(1709m)登山。経験者は語るが、この投入堂と野良仕事と大山登山の連続コンボは避けた方がいい。体中から悲鳴しか聞こえなくなる。
4日目は山陰初上陸の友人が合流し、男3人で出雲大社へ。ここはいつ行っても気持ちがシャキッとする。参拝後、日本海沿いをドライブして世界遺産の石見銀山に僕も初訪問した。全く下調べをせず行き当たりばったりで行ったら、銀山があるエリアは駐車場から徒歩45分だという。レンタサイクルという選択肢もあったが、こちとら3人中2人の体から悲鳴が上がっている状態である。泣く泣く諦めて、街ぶらのみにした。が、この街ぶらも100年前くらいにタイムスリップしたかのようで、なかなか情緒があった。
後から合流した友人は2泊のみだったため、この2夜は早く寝るのが惜しく、連日3時まで飲んでいた。5日目は後から合流した友人が帰る日。米子の街にそびえ立つ「お菓子の壽城」でお土産を購入し空港でランチ。米子鬼太郎空港では、「炉端かば」で大山Gビール(ヴァイツェン)が飲める。ここで山陰の郷土料理&大山Gビール、そして地酒に流れるのがまさに天国への階段である。
6日目は朝から畑仕事である。東京から来た友人をこき使い、野良仕事を進めた。もはや体からの悲鳴に耳が慣れ、何も聞こえなくなる境地に達した。これがサウンドオブサイレンスかと思った。午後は大山まきばみるくの里で山陰一との誉高い激旨ソフトクリームを堪能。そのまま絶叫橋が続く七鳥橋ロードをドライブした。7日目は淀江漁港で終日キス釣り。ある意味で最も贅沢な一日である。
最終日は弓ヶ浜で海を見納め、内浜線のゲゲゲの鬼太郎のメロディーロードを通って、空港へ向かった。出発ゲートで友人と握手を交わした際、なぜか熱くこみあげてくるものがあった。完走した感が半端なかった(決して脳内でサライは流れていない)。
道中、東京から来た友人はよく「ほんとこっち、何でもあるな」と言っていた。確かにそうなのである。海、山、湖、滝や川といった自然をはじめ、温泉(ごろごろある)、有名な神社仏閣、絶景の国宝や世界遺産、食事に至っては魚介類はもちろん、鶏肉・豚肉・牛肉・猪肉、たいていの野菜と多彩な果物、牛乳もお茶も地ビールもワインも地酒も全部揃っているのだ。
一方で、山陰にずっと住んでいる人はこちらのことを「何もないところだよ」とよく言っている。もちろん謙遜なのだろうけど、自虐気質を持っている人が多いのは確かだ。僕がこちらに移住して来て、7月でもう2年になる。いつの間にやら山陰に慣れているのだけれど、たまにこうして東京から人が遊びに来ると、「やっぱ山陰ってすげえとこだよな…」と改めて再発見するのである。体中の悲鳴を代償に。