フランス・ベルギー旅行のベタな失敗談


 先週のフランス・ベルギー旅行では、2つの大ポカをやってしまった。乗り換えの飛行機に乗り遅れたこととデジカメをすられたことである。

 イスタンブール経由でパリへ行く方が直行便より10万円も安くなることを知った僕らは、爪を立てる勢いでトルコ航空のフライトを予約した。それは、欲しくてたまらなかったオモチャをサンタクロースからもらった少年が包装紙を破って開けるくらいの勢いだった。が、そこに落とし穴があった。成田空港に着いた時点で、フライトは定刻の1時間遅れ。乗り継ぎ時間は実質15分程度だった。無邪気な少年にゆとりはなかった。

 イスタンブール空港に到着後、急いで外へ出たが、最悪なことに家族単位で迷子になった。国家単位で迷子になった二千円札発行騒動が頭をよぎった。どこへ行っていいのかさっぱりわからず、時間だけが無情に過ぎた。ようやく搭乗口に着いたときには、フライト予定時刻を10分ほど過ぎていた。が、乗るはずの飛行機はまだそこに見えた。望みはある。僕らは必死に受付の人に交渉したが、「クローズ!」「クローズ!」の一点張りだった。パチパチパンチだけ延々披露しポコポコヘッドもカンカンヘッドも封印し続ける意固地な島木譲二そのものだった。「プリーズ!と上目遣いでねだる作戦」「ホワイ!?と両手を上げて本田のように異を唱える作戦」「ユーロを財布からちらつかせて賄賂作戦」、そのいずれもがことごとく失敗に終わった。結局、翌朝までイスタンブールを飛んで発つことができなかった。とんだイスタンブール一泊だった。

 パリに到着後は特に問題がなかった。が、迎えた2日目。蚤の市での買い物を終え、エッフェル塔に着いたとき、ジャケットの右前ポケットに入れていたデジカメがないことに気付いた。「蚤の市では、スリが多いので手荷物に十分気をつけること」。井森美幸のエアロビ姿級にこれまで何度も目にしたことがある文面であり、日馬富士が元安馬であり、花田勝氏が現在なぜか花田虎上を名乗っているくらい常識だと今は思う。ところが、なぜかそのときは無警戒だった。一塁ランナーが満身創痍の阿部慎之助のためワインドアップで投げてしまうピッチャーのような心境になってしまった。

 デジカメと言えば、新婚旅行で訪れた沖縄でも一度やっている。

 竹富島のビーチで遊ぶ際、荷物を浅瀬の奥に広がる砂浜に置いていた。夢中になって遊んでふと目をやると、デジカメとケータイを入れた袋が水に浮いていた。時間の経過とともに、砂浜だった部分に水が浸食してきたのである。その水かさの増え様は、残して半日放置され腰まで水に浸かっている夏の冷奴並だった。当然、デジカメもケータイも水没でアウト。あの直後ほどオリオンビールが苦く感じたことはなかった。IBU100はあるかと思った。
 
 
 
 旅行にトラブルは付き物である。何も起こらないなんてことは決してない。にもかかわらず、人は何かに誘われて旅に出てしまうのだ。ごく自然に。石田純一が靴下を脱ぐように。ジャイアンがオレンジ色の服を着るように。潮田玲子が詩を編むように。

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