すぐ使える!ビアバーでツウっぽく思わせる小手先テクニック8選


なりゆきでビアバーに行くことになり、周囲から「そういえば〇〇さん、最近クラフトビールにハマってるって言ってましたよね?」的な言葉を不意にかけられ、「〇〇さん、色々教えてくださいよー」と唐突に「場におけるビール界の権威」として担がれてしまうことってないだろうか?
…ないかもしれないが一向に気にせず、そんなときの対応策を書いていこうと思う。それほどビールに詳しくなくても、以下のことを実践するだけでツウっぽく見えるはずである。

小手先テクニック その1 サービングが見える席を選ぶ。

意を決して入店した後、「お好きな席へどうぞ」と言われたらチャンスである。すかさず「じゃあ、サービングが見える席にしようか」と提案したい。ビアバーにはたいていタップと呼ばれる、いわゆる生ビール用の注ぎ口がズラッと並ぶ場所がある。その近くに陣取ればスタッフがビールを注ぐ姿を楽しむことができる。
同行のビールビギナーさんは「こういう席の選び方もあるんだ!」と驚いてくれることだろう。ブルーパブ(醸造所を兼ねたレストラン)の場合、「じゃあ、醸造設備が見える席にしようか」という提案もありである。

小手先テクニック その2 ビールの順番は尻上がりで。

ビアバーで大事なのは飲む順番である。覚えておくことは「尻上がり」。この一点だけと言っても過言ではない。メニューを見るとたいていアルコール度数(ABV)が書かれているはず。IBUという苦みの単位やSRM(EBC)というビールの色の単位が記載されていることもある。
いずれにしても「値が小さいものから、値が大きいものへ」という基本を押さえておけば間違いない。いきなりハイアルコールで真っ黒なビール、例えばインペリアルスタウトといったビールを選ぶのもありだけどセオリーではない。
この原則を踏まえたうえで、「まあ、飲みたいものを飲もう」と言うのがスマートだ。

小手先テクニック その3 とりあえずIPAネタだけ覚えておく。

酒のうんちくは基本嫌われる。ただし、不思議なもので人は1つくらいはうんちくを聞きたがるものである。要は1つだけうんちくを持っていれば良い。そこで、おすすめなのがIPA(インディアペールエール)ネタである。
「最近、そんなのみんな知ってるでしょ?」と思う人は世界が狭い。世間の99%は知らない。意外と暗記しようとすると言葉が詰まるので、ここは流れで覚えておきたい。
 
イギリスはかつてインドを植民地にしていた → たくさんのイギリス人がインドに居住 → インドにいるイギリス人もビールが飲みたい → イギリスからインドにビールを船で輸送 → 赤道を2回またぐ過酷な船旅でビールが傷む → 防腐効果のあるホップをビール(ペールエール)にたくさん投入して対策 → ホップ由来の香りや苦みが強いビールが誕生 → それがIPA(インディアペールエール)と名付けられる



小手先テクニック その4 飲む前にしっかり見て香りを嗅ぐ。

ビールが運ばれたらすぐ「乾杯!」とやってグラスを呷りたいところだけど、そこは一座のビール界の権威として「まずは香りを楽しもう」と提案したい。香りを嗅ぐというワンモーションがあるだけでビギナーは「ビールって香りを楽しむものなんだ!」と驚いてくれるに違いない。
また、泡立ちや液色の違いも見どころの一つ。詳しい理由や専門的な表現は知らなくてもいい。色や香りがそれぞれ違うということに立ち止まることが大事なのである。

小手先テクニック その5 フードを自分で選ばない。

食べたいものを食べればいいのだけど、それを言ったらこの記事が成立しないので小手先テクニックを伝えると、フードのチョイスは店員さんに任せてしまうのが良い。その際、「このビールに合うフードはありますか?」とビールと料理を合わせる、いわゆるペアリングを意識する一言を添えたい。
ペアリングのいろはとか別に知らなくてもよい。「ビールと食事を合わせる」という視点を持ち込むだけで場は間違いなく盛り上がる。「本当に合うのかどうか確かめる」というプチイベントが発生するからだ。

小手先テクニック その6 樽ばかりではなくボトルを挟む。

日本人は生ビール信仰が強いので、樽からビールを飲むことを異常なまでにありがたがる。そこであえてボトルを選ぶというテクニックを紹介したい。
多くのビアバーでサーバーから飲むビールとは別に、ボトルや缶でしか用意していないビールを置いている。ここでも各銘柄に詳しい必要は全くない。おすすめはラベルで選ぶ、「ジャケ買い」。「なんかかっこいい」「色使いが好み」「デザインが気に入った」等理由は何でもいい。生ビールから瓶に切り替える、という行為がツウ感を演出してくれる。

小手先テクニック その7 あえて色々なことに驚く。

「一座のビール界の権威たるもの、少々のことで驚いてはならぬ…」と身構えがちだけど、これは逆。色々なことに驚いた方がいい。「このビール、かなり苦いなあ!」「こんなにたくさんボトルがあるんだ!」「この泡、きめ細かいね!」などなど。
同席している人はあなたを見て、「この好奇心の強さが大事なのだな」「ビールの世界って奥深いのだなあ」と思ってくれることだろう。

小手先テクニック その8 締めにピルスナーを選ぶ。

楽しい酒席もあとわずか。「最後の一杯にしましょうか」という時間がきたとする。ここでもセンスが問われる。先ほどの尻上がりの原則に従うと、最後はもっともアルコール度数が高く、色も黒く、そして苦いものが定石。
だが、ここであえてピルスナーを選ぶとグッとツウっぽさが醸成される。ピルスナーとは黄色くてアルコール度数5%くらいの、いわゆるフツーのビール。実際に色々飲み進めた後に飲むピルスナーは格別だ。「なんだかんだ言って、ピルスナーって美味いね」と言ってお会計へと流れれば完璧。
 
 
いかがだっただろうか?
これらを実践することでツウっぽく見られることを祈りたい。