スコットランド発の日本語ラベル。ゆずを駆使した苦ずっぱいキツネ(こんにちは狐 柚子 IPA/BrewDog)


 海外のカフェで日記を書いていると、物珍しげにノートを覗きこまれることがある。どうやら漢字がちりばめられた日本語はエキゾチックに見えるらしい。一度、「モニカと日本語で書いて」と言われて悩んだ挙句、「喪煮華」と書いてあげたら大喜びされたことがある(幸せとは縁遠そうな名前ではあるが)。

 「こんにちは狐」である。おそらく海外ではかなりのインパクトを持つラベルだろう。日本人にとっては、「こんにちはと言われましても…しかも狐?」と困惑してしまう名前だ。そもそもなぜキツネなのだろう?副原料に使われているゆずの色がキツネ色だからだろうか。

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 そう、こちらゆずを使ったダブルIPA。色は金色寄りのアンバー。よく見ると、酵母なのかゆずの破片なのかやたらと浮遊物が多い。この雑さ、もといダイナミックさがクラフトビールラバーのハートを鷲掴みにする。

 アメリカンホップの華やかな柑橘香の中に、確かにゆずの香りも見つけられる。同時に、酵母の香りもモルトの香りもする。なかなか奥深いアロマに鷲掴みにされる。一口飲むと、IPAだけに苦味はもちろん強いが酸味も結構強い。フィニッシュにアルコールの辛みもあり。ちなみに、度数は8.2%。ざっくり表現するなら「苦ずっぱい」一本。飲み続けていると苦味には慣れて、爽快な酸味に鷲掴みにされる(鷲掴まされ過ぎかもしれない)。

 どんなシーンと合うのか想像したけど、六本木にある「BrewDog Roppongi」で飲むシーンしか想像できなかった。ペアリングで言えば去年、ブリュッセルで食べたカルボナード(牛肉のビール煮)とは合いそうな気がする。カルボナードって酸味が感じられるし、こってりしたソースを柑橘フレーバーがさっぱりさせてくれそう。でも、酸味地獄に追いやられる危険性も否定できない。

 数年前からIPA人気に火が付き、変化球IPAもたっくさん出ている。好ましく思っていない人もいるかもしれないけど、IPA好きとしては「ガンガンいこうぜ」と声援を送りたい。