野生酵母で醸す！智頭町のタルマーリーでビールを飲んできた

POST DATE：2017.07.31
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- REPORT
KEYWORDS：テイスティング, ビア旅, レポート, 旅, 田舎暮らし

「鳥取県人なのにタルマーリーでビールを飲んだことがない」
　
鳥取県在住のビアラバーでありながら、大山Gビールに次ぐ県内2軒目のブルワリー、タルマーリーに長らく行ったことがなかった僕は常に後ろめたい気持ちを抱いていた。ようやく先週末、タルマーリーに行くことができたのでその模様をレポートしたい。

帰りの運転はパンケーキと引き換えに。

なかなか行けなかった言い訳をするなら、僕が住む大山町からタルマーリーのある智頭町まで約100kmある。100 kmというと、東京から箱根くらいの距離。同じ県内とはいえ、地味に遠いのだ。田舎だけに当然、移動手段は車なので一人では行けない。が、「ただビールを飲みに行く」という道楽に家族を付き合わせるのには様々な困難が伴う。
　
ところが、である。救世主が登場した。パンケーキである。
　
智頭町の手前にある八頭町に大江ノ郷という施設ができ、そこがパンケーキをウリにし始めたのだ。これを利用しない手はない。「パンケーキを食べに行こう！（大声で）」「ちょっと足を延ばしてタルマーリーにも行こうか（小声で）」というわけで、念願のタルマーリー行きが決まった。
　
大江ノ郷で無事にパンケーキを食べ、車は智頭町に入った。

独特のセンスが爆発する店内へ。

ご覧の通り、智頭町は「杉の町」を謳っている。確かに通り沿いに製材所を見ることもできた。大江ノ郷から南下すること約30分、川が流れるいかにも田舎の風景を楽しんでいるとタルマーリーに到着した。

お店は保育園を改装しており、ものすごく存在感がある。遠くから一目見て「あ、センスのある店だ」とすぐ思わせるのもすごい。

中に入るとオシャレトロな空間が広がる。随所で木を使っているので、オシャレな中にも温かみが感じられる。そして、目にするモノ一つひとつが雑多なのに不思議と統一感があるのが印象的。

そうそう、こちら基本はパン屋である。パンケーキで釣らなくても、同行者がパン好きだったら帰りの運転をお願いできるかもしれない。

ビール酵母を使ったパンもある。グリッシーニ。ふむ、よくわからないけど美味しそう。

1杯目はホップホワイトを選択。お味のほどは？

お店はキャッシュオンデリバリー。一杯ずつレジで会計してもらう。テイスティングセットとかがあるのかな？と思ったけどなかった。1杯250mlで500円。この日、飲めたビールは以下の5種類。
　
・ペールセゾン
・セゾンシムコ―
・ホップホワイト
・ベイクスタウト
・クロイゼニングトリペル
　
おそらく定番はペールセゾンだが、地ビアフェスト大山で飲んだことがあったので、ホップホワイトをセレクト。ちょっと前まで僕が大好きなビアスタイル、ラオホ（燻製ビール）のスモークブラウンがあった様子。ちょっぴり残念！

すぐ隣にあるサーバーから注いでもらった。このサーバーもすごい。下水のパイプのようにしか見えないのだけど、なぜかそれがオシャレに見える。タップハンドルは木製。実に味がある。

グラス片手にカフェスペースへとふらふら進むと、こんな光景が。かつて保育園だった面影が色濃く残っていた。

こちらがカフェスペース。席を取り、お待ちかねの一口。

う、美味い！！
　
何と言うか、瑞々しいのである。非常にジューシー。柑橘系のホップ香はかなり強い。ホワイトビールは一般的に苦みが弱いのが特徴だけど、このホップホワイトはなかなかに苦い。山椒の実が入っているからか、少しスパイシーなニュアンスも感じられた。気温30度くらいの暑い日だったので、ゴクゴク飲んでしまった。

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ランビックをイメージするなかれ。

さて、気が付くと妻と子ども達がいない。ん？どこ行った？と思い、外を見ると、なんと遊具で遊んでいる。

さすがは元保育園。お店の方に「遊んでもいいんですか？」と聞いたら、「もちろん、いいですよ！」と返ってきた。なるほど、ここはお父さんはビール、子どもは遊具でそれぞれ楽しむことができるようだ。

下の子も楽しそうに遊んでいた。グラスの持ち出しもOKなので、子ども達を眺めながらビールを飲むことができた。最高か。…と気付くとグラスが空いていたのでもう一杯！2杯目はベイクスタウト。こちらも外に持ち出していただいた。

こちらのスタウトもすっきり。モルトの甘みとほのかな酸味が心地よい。そこで僕は、トンだ勘違いをしていたことに気付いた。タルマーリーのビールは野生酵母を使用しているものの、空中に浮遊している野生酵母で自然発酵させているわけではない。そのため、尖った酸味の元となるブレタノマイセスや乳酸菌も入っていないようだ。
　
野生酵母、と聞いて、「野生酵母→自然発酵→ランビック→めちゃめちゃ酸っぱい」と連想してはいけない。今回は2杯だけだったけど、タルマーリーのビールはどれもバランスが取れていて美味しい。先入観を持たずにぜひ醸造所で味わっていただきたい。