箇条書きと写真で綴るビア旅(呉ビール編)


・日本海に面した鳥取県は大山町から、瀬戸内海に面した広島県の呉へ。高速道路を使って約3時間半の道のりである。

・出発してすぐ、遠くに大山が綺麗に見えた。だからなんだ、と言われたら「ぐう」としか言えない。

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・途中、一度道を間違えて淡いパニックになったものの、無事呉着。初めて来た街で必ずすることと言えば酒屋チェック。ビールの棚にありました、海軍さんのビール。

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・取材の前に腹ごしらえ。初めて知ったのだけど、呉には呉冷麺という名物があるらしい。とりあえず、その元祖の店「珍來軒」へ。

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・注文して思い出したけど、完全に真冬だった。寒さに凍えながら完食。冬はそんな空気を察してか、温かいスープが付いていた。

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・「珍來軒」のわりと近くに今回予約した宿があった。下見がてら通ってみると、7Fに「タレントパブ不夜城」、8Fに「ショークラブ マリアージュ」が入っていた。嫌な予感しかしなかった。ビジネスホテルとショークラブって、どんなマリアージュだ。

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・気を取り直して、呉ビール(海軍さんの麦酒館)へ。呉駅からも大和ミュージアムからも近く、アクセス良好な場所に位置している。

・醸造責任者の佐々木さんに案内していただく。この佐々木さん、元々はレストランのホールスタッフだったのだそう。醸造部門が忙しかったこともあり、お手伝いするうちにいつしかどっぷり肩まで醸造に浸かっていたのだとか。最初に案内していただいたのは、モルトが置いてあるスペース。

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・麦芽粉砕機に入れる前のモルトを味見させていただく。香ばしくて実に美味。海軍さんの麦酒館では、このモルトをおつまみとして0円で提供していた(夜、たくさんいただいてしまった)。

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・こちらはミルした後のモルト。これを仕込み釜に投入する。その仕込み釜がこちら(実にスムーズな流れ)。

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・ちょうど仕込みの日にお邪魔していたため、一番搾り麦汁をいただけることに。ラッキー。

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・酵母は入っていない状態なので、とにかく澄んで綺麗だった。味はかなり甘い。温かいということもあり、甘酒を飲んでいるくらいの感じ。こりゃ、甘いものに目がない酵母も喜ぶに違いない。

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・タンクは1klのものが計16基。直近の製造量は年間65klとのこと。造っているのは、ピルスナー、ヴァイツェン、アルト、ケルシュが定番、呉吟醸としまのわビールが準レギュラー、その他限定ビールも醸している。一番人気はやはりピルスナー。定番の売上の半分はピルスナーなのだそう。

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・タンクの中には、東京のビアバーから依頼を受けて造った特別なスタイルも。写真はブラックIPA。激旨でした。

・インタビューと工場見学を終え、取材終了。夜に再訪し、レストランで改めて新鮮なビールをいただくことに。それまでの空いた時間、呉観光としゃれ込む。佐々木さんのおすすめは大和ミュージアムよりもてつのくじら館、とのことで初めにてつのくじら館へ。

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・てつのくじら館の正式名称は、海上自衛隊呉史料館。落差がすごい。自衛隊が運営しているため入場無料。佐世保の海上自衛隊佐世保史料館も無料で入ったことがあったなあと思いだす。

・巨大な潜水艦の中に入ることもできた。説明スタッフのおじさんがいて、色々な話を聞くことができた。なんでも、中国人が情報収集のためこの潜水艦をくまなくチェックしているのだとか。情報を隠すため、計器類は見えなくしているらしい。なんだかなあ。

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・ディスコのチークタイムみたいに、おじさんが定期的に照明を赤くする。夜間照明のようだが、なかなかに火曜サスペンス劇場感があった(個人的にはイエローモンキーのMY WINDING ROADのPV感がすごいと思ったけどおそらく伝わらない)

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・その後、大和ミュージアムへ。10分の1スケールの戦艦大和模型が眼前に。デカい。けど、もっと大きいと思っていたので、「あ、こんなもんなのね」と思ってしまった。ただ、実際はこれの10倍。見てみたかったなあ。

・館内では呉の歴史や、大和やそれに関わった人たちの様々な資料が並べられていた。映像コーナーも多々あり、大和乗組員の家族の話や建造に携わった人の話に聞き入ってしまった。

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・呉の商店街を散策していたら、自衛隊の制服を販売している店が。「海上自衛隊協力店」のサインもある。実に呉らしいお店だった。

・夜のとばりが下りてきたので、意気揚々と海軍さんの麦酒館へ戻る。店内は洋風レンガ造り。中から仕込み釜が見えるところも含めて、大山Gビール併設のレストラン、ガンバリウスに似ていた。

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・まずは定番中の定番、ピルスナーをモルトとともに。グラスが運ばれてきて、きめ細かな泡を見ただけで「もう飲まなくても美味しいです。ご馳走様!」と言いたくなった。実際に相当な完成度の高さ。しっかりホップの苦味をきかせているのが特徴。IBU(苦味の単位)は40。「ピルスナーは大手で飲んでるから、クラフトではエールを中心に…」と思っている人も多いと思うけど(僕自身もそう)、クラフトのピルスナーもぜひ飲んで欲しくなる。そんな一杯だった。

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・全てをグラスで飲んでいたら、体が持たないので次はテイスティングセット。左からヴァイツェン、アルト、ケルシュ。ヴァイツェンは飲みごたえがあるタイプ。アルトはモルトの甘みが好きな人向け。ケルシュは軽い口当たりで繊細な味わい。メモを取りながらチビチビ飲み、写真も撮っていたので変な人に見えたに違いない。

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・つまみに選んだのは呉名物、魚のすりみを揚げたガンス天。これをブログに上げる人は、判を押したように「ガンス天でがんす」とか「うまいでがんす」とか言っている。ガンス天、美味しかったです(天邪鬼)。

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・続いて、しまのわビール。レモンを添えて。アマリロとカスケードの2種類のホップを大量投入した結果、かなり強烈な柑橘系アロマを獲得。僕のようなホップ馬鹿が泣いて喜ぶ一杯に仕上がっている。ただ、スタイルはIPAではなく、ラガー。飲みやすい。

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・続いては呉吟醸ビール。スタイルはジャーマンボックでアルコール度数も7.0%とやや高め。広島の「もみじ酵母」という吟醸酵母を使用している(ラガー酵母も併用)ため、吟醸香が鼻を抜けていく。アーティスト気取りでグラスを下から取ってみたら、スタッフさんが映り込んだ。

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・広島名物、ホルモン揚げをつまみにほろ酔い気分でちびちび飲んでいたら、佐々木さんが仕込みを終えて合流してくれました。ちょうど飲める6種全て飲んでいたので、呉ビールさん所蔵の各国のクラフトビールを飲ませていただくことに。後輩ブルワーの増田さんも合流し、3人でテイスティング会。

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・お店がワックス掛けをするということで、事務所のデスクに移動してテイスティング会。いや、もはやただの酒盛り。ストーンのIPAなど、ハイアルコールなビールもいただいたので最終的に記憶があやふや。失礼なこと、してないといいなあ…。呉ビールの佐々木さんと、増田さん、このたびは大変お世話になりました!

・目が覚めたら、ホテルで寝ていた。どうやって帰ったのか覚えていない。翌朝、財布の中にマクドナルドのレシートを発見。ビックマックを食べていた。記憶ゼロ。消えたビックマック(胃の中に)。

・宿泊したビジネスホテル、壁にうっすら亀裂が入っていたけど、快適な宿だった。車も停められて一泊4000円。今後、呉に来たときの常宿にしようかな。「ショークラブ マリアージュ」には近づかないよう、気をつけねばならない。嗚呼、もう呉を再訪したくなっているでがんす…。

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(了)