コンビニでブチギレした一部始終を書く
- POST DATE:2014.10.18
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- KEYWORDS:ビールがあまり出てこない, 人生論
ある醸造家の方が以前、「開店と同時に居酒屋に入ると、生ビールがとんでもなく不味いことがある」と話していた。店側がサーバーの洗浄を怠っているうえに、古くなったビールを平気で出している。彼はそういうとき、怒って店主に指導するのだと言っていた。それを聞いて僕は、自分にはできない芸当だなあと思ってしまった。
これまで洗浄してなくて不味いビールを出されたことも、明らかに傷んでいるドラフトを提供されたこともあったけれど黙って飲んできた。酒屋で保存状態が悪かったのか、本来の味とかけ離れたビールを買わされたこともあったけど抗議をしなかった。
これでいいと開き直っているわけではないのだけど、人を怒るのが好きではないし苦手なのである。そんな僕が先日、本当に久し振りに激怒した。僕が最後にキレたのは数年前、風に対してだ。観覧車に乗っていたら頂上付近で強風が吹き、「ふざけんな、風!」と声を上げた(人に対して最後にキレたのは思い出せないくらい前)。
あれは仕事を終え、帰宅しているときのこと。急ぎでファックスを送ってほしいという依頼があった。帰宅はおよそ40分後。相手が急いでいる様子だったから、近くのコンビニから送るか。そう思って、某コンビニに入った。
幸い複合機は空いていた。バッグから書類を取り出してセット。さあ、送ろうと思った瞬間、液晶パネルに「つり銭切れです。スタッフを呼んでください」という文字が。こちらは過不足のない小銭を持っている。無視して前に進めようと思ったが、どう足掻いても「つり銭切れです。スタッフを呼んでください」は消えない。超短気の人はまずここでキレたくなっただろう。
仕方ないなと女性の店員を呼ぶも「私はわからないんで!別の者を呼びますね!」となぜか逆半ギレされた。そこそこ短気の人はここでキレてもおかしくない。奥から責任者らしき男性の店員が出てきた。ところが、である。小脇に複合機のマニュアルを抱えている。嫌な予感しかしなかったが、その人しか頼れる人はいない。覚束ない様子でマニュアルをめくりながら操作していたが、事態は一向に前に進まない。普通の短気の人はここで店員に「早くしろよ!こっちは急いでるんだよ!」の一言くらいは投げ掛けたと思う。
この時点では、僕はまだ寛容な気持ちを持っていた。「まあ、彼もバイトでたまたまこの時間の責任者ってだけなのだろう。店の全てを知らなくても仕方ないか…」と。ところが、彼はマニュアルを見ても事態を打開できないと悟ったのか、何も言わず奥に引っ込んでしまった。この時点で10分が経過している。すぐに帰ってくるのだろうと思いきや、なかなか帰ってこない。僕はこの時点からイラつき始めていた。ようやく彼が姿を現したのはなんと15分後だった。入店から25分。彼はケータイで誰かから指示を受けている。お金が入っているカバーを開けたいのだろうというのはわかるのだけど、これが鍵を使っても裏側に手を突っ込んでも開かない。「複合機のお金が入っている部分を開ける」なんて「肉まんを補充する」くらい簡単な業務だろうと思うのだが、そうではないようなのである。
そして、ようやくガコッという音とともにカバーが開いた10秒後、最大の怒りポイントが到来した。彼はつり銭を補充しにレジへ向かったのだが、なんと「お待ちのお客様、こちらのレジへどうぞ!」と並んでいる客を優先したのである。ここが僕の怒りの沸点だった。が、レジ待ちの客に罪はない。耐えるしかない。一人また一人と客が並び、結局また追加で10分待たされた。最後の客が店を出た後、僕は男性店員に「おかしいだろ!」と強めに告げた。怒るのって難しいな、とやっぱり思った。
すると、そこで初めて店員は驚いた顔で「隣のレジでお会計ください」という札を出して作業に戻った。釣り銭の補充にもなぜかやたらと時間がかかり、最終的に「直りました!」と言って店員がその場を去り、ファックスを送れたのは入店から50分後だった。これだったら帰って送った方が早かった(ちなみに、これだけ待たせてもファックス代は無料にはならず、しっかりお金を払わされた)。
普通、怒ると「ああ、今日は怒らなくてもいいのに感情的になっちゃったな…」と反省するものだけど、今回の場合は一切それがなかった。むしろ、怒るべきときに怒らないといけないのだなと反省した。おそらく男性店員は、僕がのんびり待ってるからレジ待ちの客を優先できたのだと思う。「短気は損気」という言葉があるけど、暢気も損気になりうることが新たにわかったことは収穫だった。
今後、店で不味いビールを平然と出されたら、「なめとんか!」とキレてみようか。とも思うのだけど、それまでに「上手なキレ方講習」を受けなければ。適切に人に対して怒るって本当に難しいから。人を怒るのに長けた方、誰か講師になってください。