AIの進化はライターにとって脅威だから生き残る方法を考えてみた


バビーズ ヤエチカ、Antenna America、TAMEALS、デビルクラフト浜松町、PDX TAPROOM 、Mikkeller Tokyo、NIHONBASHI BREWERY、GARDEN HOUSE Shinjuku、TAP STAND、YYG Brewery & Beer Kitchen、そして、ブラッセルズビアプロジェクト新宿…。

先日の1年振りの東京では気になるビアバーを攻めて、とにかくビールをオンタップで飲みまくった。上記の店、わずか1泊2日の間に訪問した店の数である。

東京、楽しかった。今はもう早く息子たちと遊びたくてたまらない! #tokyo

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メインの目的は友人の結婚式だった。東京タワーの目の前が会場で列席者も日本の飲食業界を担う凄腕実業家達が大集合、という実に華やかな式だった。

新郎の友人とは大学時代に出会ったので、僕は大学時代の友人テーブルへ。そこでは、同じく大学時代に知り合った先輩がいて、披露宴の後も渋谷のPDX TAPROOMで小さな2次会を開いた(延々ビールについて語ってしまった…)。店は今熱いオレゴン州のポートランドに特化したビアバーで(PDXはポートランド国際空港の空港コード)、渋谷にはここまで細分化された店があるのだなあと驚かされた。

鳥取に戻った後、2次会を共にした先輩から一冊の本を紹介された。『モバイルボヘミアン』というものである。僕が鳥取で「ビアエッセイスト」という他にはない肩書きを自称していることから、「参考になるのでは」とわざわざ連絡をくれたのだった。

尊敬する先輩のおすすめなので、迷うことなく注文し、すぐに読んでみることに。

ものすごく簡単にまとめると、「今は組織に縛られず旅をするように、好きなこと、やりたいことを楽しむ延長線上で働いて生きて行ける時代。君もどう?」という内容。“ノマドの先駆者”とも言われる著者(2人による共同執筆)の軌跡と考え方を綴ったこの本、面白くてあっという間に読んでしまった。そして、自らを顧みざるを得なかった。

今、僕は組織に所属することなく(一応まだ青山の放送作家事務所には所属しているのだが、レギュラー番組1つだけなので実質無所属に近い)、フリーランスライターとして生きている。基本的には東京のウェブコンサルティング会社など遠方から依頼されるライター仕事をしつつ、最近は「ビアエッセイスト」という肩書きでビールの記事を寄稿したり、講演活動をしたりとじわじわ楽しい仕事もできている(このブログの収益も地味に上がっている)。ただ、ビール関係の仕事はまだまだ遊びに近く、妻と共働きだからこそ時間が割けるのが実情。もし自分一人で一家を養おうとしたら、職人的ライター仕事(と言うとかっこいいが、要は村上春樹が言うところの“文化的雪かき”)だけに多くの時間を割かなければならない。

ところが、最近すごく思うのだけど、この“文化的雪かき”仕事って、人工知能の進化で早晩消滅するのではないか。最近、僕が仕事で書いた文章のテーマを挙げると、

AGA、結婚式、有料老人ホーム、ネットオークション、語学留学、タワーマンション、夜行バス、印鑑、子ども用寝具、テント、豊胸手術etc

…とまるで何の脈絡もない。知識ゼロの分野の文章を書くことなんて珍しくない(逆に、僕に豊胸手術の知識があったら怖い)。広告制作会社にいた頃は、全く興味のない車やコピー機、アパレルの文章も書いていた。もちろん、プロだから調べて内容の骨子を掴んで、読み手にわかりやすく文章を書くことはできる。でも今後、このような技術に偏った仕事はおそらくAIに侵食される。先日放送されたNHKスペシャルの『天使か悪魔か 羽生善治 人工知能を探る』を見て、その予感は確信に変わった。

じゃあ、どんなことを書いて生きていくの?と言ったらやっぱりモバイルボヘミアンよろしく月並みだけど、自分の好きなことを突き詰めていくしかない。また、AIに与えるデータとなる素材を集める能力、つまり取材力は大きな武器となるはず。僕の場合、テーマの中心はビール。このブログも第3者に僕がインタビューしてゴーストライティングする新しい形のビアエッセイを今後は書いていく予定。

また、「取材&好き」ががっちり嚙み合ったビールの紀行文はかなり堅いコンテンツになると思う。これは子育てが終わったら(今は子どもと一緒にいること最優先!)、メディアや観光局などにアプローチして実現したい。どうせお金を払ってでも心底やりたいことなのだ、航空券を貰えるだけで御の字と言える。結果、海外のビール事情に詳しくなればセミナーのテーマの幅も広がるだろうし、その知見を伝えながら人と交流できるテイスティング会なども開催したい(単純に自分が楽しい!)。自分もその一人なので注目しているのは、自宅にビールサーバーを導入している人たち。彼らを取材して新しいメディアを作る動きは既に進めている。

それとは全く別に、年間2件とかに限って自分史を作るお手伝いをしたいと考えている。人の話を聞いてノンフィクションを書くのが好きなのもあるしきちんとビジネスにはしたいけど、中年やお年寄りってシンプルに自分の話を人にしたいと思うのだ。傾聴するだけで人の役に立てるならいくらでも話を聞く。なんせこちらは聞きたいのだから需要と供給が一致している。

そして、取材をしないノンフィクションも書きたい。僕は元々、くだらない無意味系ブログ出身(瞬間とプレパラート)。「空想ノンフィクション」というジャンルを自分で作り、星新一におけるショートショートのようにコツコツ書いていきたい。手始めにnoteで単品販売するのだけど、これには小さな目標がある。漫画や映画など映像化につながらないか?と思っているのだ。まあ、待っていても楽しい未来なんて起きないので、これも自ら売り込みに行く。駄目なら駄目で少なくとも人に話すネタにはなる。

…ここまでやれば、向こう10年、20年、人工知能が進化しても、僕という人間がアウトプットする意味や価値があるのではないかと思う。あ、全部が全部面白くなきゃならないな。さあ、頑張ろっと。