「これ、ベルギービールっぽくないね」は禁句(プリムス/ハーヒト醸造所)


 一体どう例えればいいのだろう?少し考えて挙げてみる。

・旅先の福岡で「とんこつラーメン」ではなく、「醤油ラーメン」を注文してしまう。
・東京に来た外国人が「秋葉原」ではなく、「奥多摩の森」に行ってしまう。
・夫婦関係を終わらす書類を「離婚届」ではなく、「卒論」と呼んでしまう。

 最後だけ若干ズレてしまった気もするが、要は一番特徴が出るところを外し、どこでも楽しめるものを選ぶことを例えたかった。「ピルスナー(ラガーの一種)」というごく一般的なスタイルのベルギービールを飲むことについてである。

 先の例で言うともちろん、福岡には美味しい醤油ラーメンもたくさんあるだろうが、やはり旅先なら名物のとんこつラーメンをいただきたい。せっかく外国人が来日したなら、自然もいいけどやっぱり東京にしかない街に行く方が発見や刺激が多いだろう。

 同様に、「ベルギービールを堪能したい!」と願う人は、この「プリムス」や定番の「ステラ・アルトワ」といったラガー系は避けた方がいい。なぜなら、ベルギービールの持ち味はそこにはないから。度数の高いゴールデンエールや酸っぱいランビック、さらには修道院ビールなどベルギーならではの一本をおすすめしたい。

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 「プリムス」は、その前提を理解したうえで選びたい。これはこれで非常に美味しい一本だ。確かに淡色ですっきりしていて飲みやすく、ごくフツーの国産ビールのようだが、何とも言えない麦や穀物の香り、口に含んだときの甘苦さで日本のビールとは一線を画す。またラベルが洗練されているので、お呼ばれした自宅パーティーなどに持って行ってテーブルに並べるだけで、「なんかいい感じの外国ビールを持って来てくれたね!」と家主に喜ばれること請け合いである(その割に値段は高くない)。

 ちなみに言うと、ベルギー本国ではこの「プリムス」のようなラガービールの消費が全体の7割、つまり多数派を占めている。「なーんだ」と思ってしまうが、日本人が自国の伝統ある日本酒よりビールの方をより消費するのと理屈は同じなのかもしれない。