既婚者は「結婚っていいもんだ」ともっと言うべきだと思う
- POST DATE:2016.05.11
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- KEYWORDS:ビールがあまり出てこない, 人生論
夜中の3時過ぎ、寝相の悪い息子(8月で3歳)がベッドから落ちて起きてしまった。
先日の話。それだけならたまにあるのだけど、間が悪いことにその日、妻は泊まりでいなかった。「パパとねんねしない、ママがいい!」と息子がぐずり続けるのでこちらも「パパしかいないんだから我慢しなさい!」と怒ってしまう。「そんなこと言うなら出て行くぞ」と部屋を出る振りをしたら慌てて追いかけてきた。
パパまでいなくなったらおしまいだと思ったのだろう、諦めて横になった。ところが、くっついて寝るだけじゃ安心できなかったのか、僕の体の上に登らんばかりにぐいぐい身を寄せてきて自然と腕枕をすることに。すると数分後、寝息が聞こえてきたのだった。自分を頼ってくれる子どもを胸に抱きながら、なんだか愛しさと切なさと心強さとが混ぜこぜになったような、名状しがたい感情に襲われた。
最近、3年以上婚活に悪戦苦闘した末に39歳で結婚した男性のブログを読む機会があった。釣書というプロフィールを送った段階で切られ、お見合いに漕ぎ着けても断られ、交際してもゴールには至らず、パーティでもうまくいかず泥沼に陥った様子が事細かく綴られていた。彼は自分の経験から「未婚の人はできるだけ早く結婚すべし」という主張を繰り返していた。
僕がそれまであまりピンとこなかった「婚活」というジャンルに反応するようになったのは、婚活事業に取り組む移住者を取材してからだ(そんな流れで宣伝)。
取材中、特に印象に残ったのが、既婚者が「結婚っていいもの」「結婚してよかった」と口を揃えていたことだった。生まれてこの方、「結婚は人生の墓場」とか「年貢の納め時」といった結婚に対してネガティブな言葉ばかりを聞いてきたためか、それらのポジティブな言葉はとても新鮮に映った。
自分自身、結婚なんて別にしなくてもいいかな…と正直思いながら10代20代を過ごしてきたが、まさに縁あって31歳のときに結婚した。幸運なことに翌年、子どもを授かった(7月には2人目も生まれる)。そして、今心の底から思う。やっぱり「結婚っていいもの」だと。子どもと過ごす時間もそうだし、子どもが寝た後で妻とテレビを見ながらビールをゆったり飲む時間もこの上なく幸せだ。
ところが自分を振り返っても、誰か他人に対して、特に独身の人に「結婚っていいものだよ」と言った記憶がない。「自由がなくなっちゃうよ~」などとあえて結婚のネガティブな側面を自虐的に伝えていたようにすら思う。それを聞いて「そうか、両方経験した人がそう言うなら独身のままがいいな」と思わせてしまうなら(自分も独身のときそう思ってしまった)よくないと今さら後悔する。
事実、結婚って大多数の夫婦にとって「まあ、色々あるけどトータルいいもんだな」と思えるものなのだから、変にひねくれずに「結婚っていいものだよ」と周囲に伝えていくべきなのだ。僕は取材時、既婚者が「結婚って本当にいいものだからね」などとサラッと話すのを聞いて感動した。少なくとも「結婚なんてするもんじゃないよ」といった類の言葉を聞くより100倍気持ちがいい。
例えば、親が「日本になんて生まれたくなかった。アメリカがよかったな」と呟き続けたら、いつしか子どもは健全な愛国心や郷土愛を失うだろう。「日本はいいとこだよ。日本に暮らせて幸せだ」と僕は伝えたい。日本を鳥取に変えてもいいかもしれない。
同じように子どもには妻への愚痴などをこぼさず、「結婚っていいものだよ」というシンプルな価値観を伝えていこうと思っている。未婚晩婚、少子化の傾向はすぐには変わらないかもしれないけど、世の親たちが地道に子どもを教育していったら、じわじわ社会の認識は変わってゆくのではないか。
というわけで僕は、「結婚って、まあ色々あるけどトータルいいもんだ」と実感している夫婦には、間を( )で端折って「結婚っていいもんだ」と周囲に伝えることを提唱したい。まあ色々あるけど、の部分は後で伝えればいいじゃん。