ビールをチビリチビリやりたい人必飲。至福の1時間を約束してくれるバーレーワイン(OLD STOCK ALE 2014/North Coast)


 チビチビ飲むお酒と言うと、ウイスキーや日本酒が定番。グビグビ飲むお酒と言うと、ビールが定番だろう。でも、「俺はビールをチビチビやりたいんだ!」と荒くれる人にぴったりなビアスタイルが英国発祥のバーレーワイン。バーレー(barley)とは大麦、つまり麦を使った、ワイン並に度数が高いビールなのだ。決してワインではない。

 チョイスしたのは、カリフォルニア北部の小さな街でブルーパブ(醸造所兼酒場)として始まったノースコーストの「OLD STOCK ALE 2014」。アメリカのクラフトビールって、斬新なデザインやイラストを駆使したラベルが多い印象があるけど、これはいたってクラシカル。ボトルだけ見ると、イギリスのビールに見える。

OLD STOCK ALE 2014/North Coast

 アルコール度数は完全にワイン並の11.8%。冷蔵庫にずっと入れていて、冷えていたため、最初は香りが曖昧だった。なんとなく甘ーい、いちごミルクのような香り。口に含むと、モルトの甘みと重厚なコクが広がる。ごれをグビグビ飲める人はぜひ挑戦してみて欲しいくらいだ。「リッツ10枚を水なし1分で!」というミッション並に難しいはず。チビチビ飲んでいると、干しぶどうやラムレーズン、アルコールの香りが鮮明に。味わいも、冷たいときと温度が高くなってからでは印象が違う。液体がトロッとしてきて、ブランデーのようにいわゆる「カーッとくる」ようになる。

 「この一本は締めにこそふさわしい」というのが教科書通りの説明だが、僕はあえてこれを一本目に飲むのも面白いと考える。いや、一本目兼締めと言うべきか。つまり、このビールだけを飲めば、夜は確実に楽しくなると言いたい。

 ちなみに、お値段は850円程度。普通のビールだったら4本、新ジャンルだったら500ml缶でも6本は飲めるかもしれない。でも、移りゆく香りや味わいに感動しながらチビチビ煽る1時間は最高。結果的に、普通のビール4本以上の満足感が得られると個人的に思う。ま、ここまで来たら「ビール馬鹿」の称号はあなたの手中にあることだろう。