金色の普通のビールかと思いきや、気づくと結構酔わされている魔性のビール(Duvel/Duvel Moortgat)


 2005年12月8日。AKB48が秋葉原の劇場で初公演を行った際、一般入場者は7人だけだったらしいが、「彼女たちはいつか東京ドームで公演をする」と予測できた人はいただろうか。たぶんいなかっただろう。

 同じように、僕は10年以上前にビアバーで飲んだデュベルが「将来、コンビニに並ぶ」なんて予測できなかった(強引な流れ)。当時はかなりマニアックで、重厚な雰囲気を漂わせていたように思う。それが今や、ローソンで普通に見かけるようになった。なんとなくポップな飲み物にすら見える。隔世の感を禁じ得ない。

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 写真の背景に白々しくネオンサインを置いていることからもわかるように、僕はデュベルが大好きである。まず香りがいい。梨のような、青りんごのようなベルジャン酵母由来のフルーティーなアロマが鼻腔をくすぐる。ほのかなアルコール香も感じ取れる。

 次のポイントは泡。グラスの半分くらいが泡。これがいかにもデュベルらしい。去年、ベルギーのレストランで注文した際も、こんもりした泡で注がれた。「泡多くね?」なんて文句を言ってはいけない。グラスの半分が泡でOKなのだ。

 一口飲むと、アルコール度数8.5%なのにもかかわらず、すっと喉に入ってくる。味わいは複雑なんだけど雑味が全然なく、飲みごたえがあるのにフィニッシュはキレる。色々な矛盾をすべて軽やかにクリアしているのがすごい。

 そして、一番僕が好きなポイントは見た目が大手のピルスナーのように金色である点。これは男性にとって大きなメリットだ。女性と2軒目に行ってカクテルを飲ませようとすると「この人、もしかして私を…」となるし、色の濃いビールだと「注意しないと酔うかも…」となるけど、このデュベルだと全く警戒されない。どころか、前述のように香りもいいし、すいすい飲んで酔ってくれる。

 ただし、同じように自分も酔っぱらってしまう。僕は20代の頃、グラスを重ねた末にビアバーのスツールで寝てしまったことがある(ずり落ちて目が覚めた)。デュベルとは「悪魔」という意味らしいけど、夜更けのデュベルは睡魔にもなるから注意したい。